Hello,EQ!

研修講師 柴田やすふみが日々感じたことを自由に綴るブログです。

裁判員制度

裁判員制度が始まって10年が経ちました。

この制度については、今も賛否両論あります。

もし、自分に候補者の通知が届いたら・・・。

日本在住の全ての有権者にその可能性があります。

 

この制度が始まる前、今から11年前のこと。

私が勤めていた会社でも、この制度について議論が交わされました。

特に懸念されたのは、

・勤務にどこまで支障が出るかわからない

・メンタル面に様々な影響がでるのではないか

の2点。

 

そこで、会社は裁判員として活動することが確定した場合、

専用の有給休暇を設けました。そうすることで、対象となった

社員を会社全体でサポートしよう決めたのです。

当時としては、かなり早い段階での決断だったと思います。

 

そしてもう一つの懸念。

それがメンタルヘルス対策でした。

 

裁判員には重要な守秘義務が課せられます。

この守秘義務がある以上、経験を語ることができても判決に

至るまでの経緯は守秘義務の対象となります。

 

これまで裁判に接することがなかった人にとってみれば

大きな精神的負担だと思います。

では、その時何ができたか?

 

私たちは有志を集め、また最高検察庁裁判員制度の推進課にも

協力を仰ぎ、「裁判員制度を知る」ことから始めたのです。

 

不安は、何も知らないという未知の状態から起こります。

ならば、まずその不安を取り払い、いざという時に備えよう、

というものでした。

 

結果、北は北海道から南は九州まで各支店で就業する社員向けに

セミナーを行い、前述の有給休暇制度の認知拡大もあって

多くの社員が参加しました。

参加者からは、

「専用の有給休暇制度があり、制度の内容も知れたので安心した。

もし通知があればすぐに会社に相談したい。」

といった声が多数寄せられました。

 

しかしながら、これは私が勤めていた会社でのこと。

社会全体ではどうかというと、残念ながら未だ多くの不安は拭えないままです。

 

最高検察庁の方の言葉が今も心に残っています。

 

「確かに大きな負担です。ですが、どの事件も私たちの社会で起きています。

他人事で片づけず、どうすれば安全な社会になるのか考えるきっかけになれば

と願っています。」

 

また、昨夜のニュース番組では「死刑」判決に関わる経験された裁判員の方が

コメントされていました。

 

「確かに死刑は重いです。ただ心がけたのは、過去の判例があっても今の

市民感情ではこれが妥当だと伝えることに注力しました。ただそれだけです。」

 

裁判員制度は日本社会どのような未来をもたらすのか。

私たち一人ひとりがもう一度考える節目に来ています。

 

あなたにも明日、その通知が来るかもしれません。もちろん、この私にも。

もう一度、裁判員制度について考えてみませんか。