旅人
今日の仕事を終えて、明日の訪問地に向けて新幹線に飛び乗る。
平日の夕方、ローカル線は帰宅を急ぐ人で混み合うが、
新幹線の場合は行き先によって空いていることが多い。
座席についてすぐに僕がすること。
ブルートゥースイヤホンの電源を入れ、ASKAの音楽に身をあずける。
音楽は不思議だ。
音はイヤホンを当てた耳から流れてくるのに、
いつのまにか身体全体が音を受け止めている。
疲れた時は、優しく。
寂しさの時は、勇敢に。
不安な時は、正直に。
ASKAの音楽が身体をふるわせる。
夕焼けを左の頬に受けながら、高速で流れる車窓の向こうに
ぼんやりと視線を向けてみた。
北へ向かう日は、彼方の山々のてっぺんに残雪が見える。
南へ向かう日は、初夏を思わせる濃い緑が僕を襲う。
気づくと僕は季節を行ったり来たり。
やっばり、そうなんだ。
僕は季節を行き交う「旅人」だ。
自己満足ですよ、別に。
でもこのフレーズ、僕のお気に入りなんだな。